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恐怖を知り、待つ③

目次

なぜ人は恐怖に向き合えないのか

1.恐怖に向き合えないのは「弱さ」ではない

人は、恐怖に向き合わないのではなく、

向き合いたくても向き合えないことがあります。

それは意志の弱さではなく、

心と身体が、その体験を受け止められる範囲を超えているからです。

心理学では、圧倒されずに感情や身体感覚を保てる範囲を「耐性の窓」と呼ぶことがあります。

その窓の内側にいるとき、

人は不安を感じながらも考え、言葉にし、選ぶことができます。

しかし恐怖が強すぎて窓の外へ押し出されると、

心は考えることよりも身を守ることを優先します。

2.耐性の窓を超えたときに起こる二つの反応

恐怖が「耐性の窓」を超えると、

心と身体の反応は、大きく二つの方向に傾きます。

一つは、身体が危険に備えて緊張を高める方向です。

胸が落ち着かず、考えが次々に浮かび、その場から逃れたい気持ちが強くなります。

もう一つは、反対に、心身の働きを小さくする方向です。

身体が重くなり、頭が真っ白になり、言葉や感情が遠のいていきます。

前者は、危険から逃れたり身を守ったりするために活動を高める反応であり、

後者は、これ以上傷つかないように感覚や動きを抑える反応です。

どちらも、心と身体が「今はこの出来事を安全に扱えない」と判断したときに起こります。

3.自己開示が恐怖を呼び起こす理由

この二つの反応は、自己開示の場面にも現れます。

自分の内側から、思うようには抑えられない感情や衝動が湧き上がると、

「自分で自分をどう扱えばよいのか分からない」という不安が生まれることがあります。

さらに、何を話してしまうのか、

相手がそれをどう受け止めるのか、

その後の関係がどう変わるのかを予測できないことが、恐怖を強めます。

自己開示では、自分の内面を見せることだけでなく、

その後の成り行きを自分では制御できないという不確かさが、

羞恥やためらいを深くするのです。

4.「話せない」反応は心を守るための働き

このような予測できなさや、自分では成り行きを制御できない感覚に直面すると、

心と身体は、今まで保ってきた自分の安定や相手との関係を守ろうとします。

話すのをためらう、黙る、話題をそらすといった反応は、

そのために安全な距離を取ろうとする働きです。

心理学的に見れば、恐怖に向き合えないのは、弱さのためではなく、

自分の心の安定を守るための自然な反応なのです。

5.次回予告

恐怖に向き合えないとき、心はただ自分を守っています。

では、その恐怖を抱えたまま、どのようにして一歩前へ進むことができるのでしょうか。

次回は、恐怖に耐えて向き合うとは何か、

その内側で起きている心の働きについて考えていきます。

☞このシリーズの元となったココロちゃんのメッセージは、下記から読むことができます。

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