5.のどから手が出る
食欲をみつめ振り返っていくと、どうしてもある衝撃的な経験を思い出します。
私は地元のスーパーのベーカリー部(パンを成形し焼いて出す部署)で、アルバイトをしていました。
ベーカリー部では、焼きすぎや落下、成形の不具合などで、仕損じ品がでることがあります。
それは廃棄することになっています。
その日は、細長いフランスパンがごみ箱の中に廃棄されていました。
その瞬間です。
私の口から突然手が伸びて出てきて、捨ててあるパンを掴もうとするのです。
そのパンが食べたくて仕方がないのです。
喉から手が出るような、という言葉がありますが、その言葉通りの体験でした。
霊的な体験だと思いました。
あまりにもリアルで、恐ろしい体験でした。
私は即座に理解しました。
過去世で、捨ててある食料を探して食べて歩いていた、そういう飢餓体験をした時があるにちがいない、と。
不思議なことに、店に並んでいるパンには、その感覚が起きないのです。
ゴミ箱に捨ててあるパンに対してだけ、そういう反応が出たのです。
だから、今でも廃棄される可能性がある食べ物を見ると、
無性に食べたくなり、食べ過ぎてしまうのかもしれません。
過去世の飢饉の際に感じた、食べ物がなくて餓死してしまうのではないかという恐怖心が、
潜在意識に残っているのではないかと思います。
われ先にとがっついて食べる感覚も、おおもとはそこに根差している可能性があります。
ここまで振り返り、私は自分自身をケアする必要があると気づきました。
自分の中にいる空腹で苦しんでいる自分に対して、言ってあげたくなりました。
「おなかが減って、つらかったね。でももう大丈夫だよ。食べ物はいっぱいあるからね。
そんなに慌てて食べなくてもいいからね。ゆっくり、必要なだけ食べていいんだよ。
食べ物はなくならないからね。」
これを書いていて、どこか安心する感覚が湧きました。
これが一種のセルフ・カウンセリングになったのかもしれません。
お読みくださった方には、私の自己カウンセリングにお付き合いいただき、ありがとうございました。
(「欲と向き合う」⑥に続く)
(花町宰)
