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体験が心を育てる②

目次

丁寧さは現場で育つ

1.マンション管理の仕事の物語

マンション管理人の代行業務をしていた頃、

私はあるマンションを長期で任されていました。

毎日の基本清掃を終えると、必ずマンション全体を見回りました。

すると── 今まで全く気づかなかった場所が、ある日突然見えてくるのです。

「ここ、汚れていたんだ」

「こんなところに埃が溜まっていたのか」

誰も気づかなかった小さな場所、

隠れた場所、

掃除しようと考えもしないような場所が、

ぽつりぽつりと見えてくる。

それを一つひとつ丁寧にきれいにしていくと、

住民の方が声をかけてくれました。

「こんなところまできれいにしてくれるんですか」

「ここまで掃除するんですね」

その言葉が胸にしみました。

誰も気づかなかった汚れがきれいになっていくのは、本当にうれしいものです。

2.細部を仕上げる仕事の誇り

ある日は外壁の埃が気になり、何日もかけて水洗いしました。

また、アルミにできた白い錆を見つけたときは、

ビルのメンテナンス会社に電話して、

錆の落とし方と必要な洗剤を教えてもらいました。

その洗剤を使い、アルミの手すりや枠を丁寧に磨いて回りました。

住民の方々はとても喜んでくれました。

「こんなにきれいになるんですね」と言われるたび、 胸の奥に誇りが湧きました。

誰に命じられたわけでもない。

評価されるためでもない。

ただ、自分の“きれいさの基準”に合うまで妥協せず、

使う人が気持ちよく住めるようにと努力した。

その積み重ねが、私の仕事の誇りになりました。

3. 丁寧な仕事が生んだ出会い

シャッターの錆を落とそうと奮闘していたある日、

向かいの図書館に来る人が私の姿を見ていたそうです。

「あそこまでやるのか。ご苦労なことだ」

その人はそう思ったと、後で教えてくれました。

やがてその人が、偶然にも私の後任になりました。

引継ぎのとき、私は自分がやってきたことを丁寧に伝えました。

その方は感心しながら聞いてくれました。

「ここまでやるのか」と驚きつつも、

私の言うことと、私のやってきたことが一致しているからと納得し、

私が自発的にやっていた壁掃除まで引き継いでくれました。

その方は時々、私の担当マンションへ、話をしに来てくれました。

私がその仕事を辞めてからも、時々、近況を告げるラインをくれるようにもなりました。

思わぬところで、友人ができたのです。

◆ 次回予告(第③章)

次回は、 「実意丁寧はなぜ心を整えるのか」 仕事の現場での体験から見えてきた、 丁寧さの本質と心の整い方について語ります。

☞ココロちゃんの原文はこちら

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